何度も読み返すような、自分のバイブルといえる本をお持ちでしょうか。前職、株式の運用を仕事としていたときには、いくつか感銘を受ける書物に出会い、マイバイブルとしていました。その中でも「マーケットの魔術師」という本は、株の運用のみならず、すべての勝負事に対する考え方の教科書として、未だ自宅の本棚に収まっています。一番大切なのは、ロスカット、生き方でいえば、間違ったときにその間違えを認め、方向転換することが大切であるということが、天才と言われる人たちの運用の実例をもとに記されています。
10年ほど前までは、よく自己啓発的な本も読んでいましたが、さすがこの年齢になると、啓発よりも、よりリアリティのある書物を手にすることが多くなりました。経営者となってから、P・F・ドラッガーにも影響を受けましたが、のめり込むところまでは行かず様々な経営指南本のうちのワンオブゼム。数多くの興味深い本、印象に残った本こそ読んでいますが、生き方のバイブルとなるような書籍には、今思えばしばらく出合っていませんでした。
今年に入って、例年以上に札幌への出張が多くなり、札幌までのJRの乗車時間も伸びたため読書の時間も増えました。先日、いつものように函館駅構内の書店で今日はどの本を読んでいこうか物色していたところ、平積みされているハードカバーの中に、15万部突破という手書きのアピール文が添えてあるのが目に止まりました。タイトルは「覚悟の磨き方」。決して軽そうな本ではありません。その下に「超訳 吉田松陰」と書かれています。幕末の長州武士の一人として名前こそ知っていますが、歴史に詳しい人か長州人でなければ、どんな人物か詳細に説明できる人は少ないのではないのでしょうか。
興味を持って中を少し読んでみました。以下、引用です。
『松陰からの学び一 ~動きながら準備する~ やろう、とひらめく。 そのとき「いまやろう」と腰をあげるか、「そのうちに」といったん忘れるか。やろうと思ったときに、なにかきっかけとなる行動を起こす。それができない人は、いつになってもはじめることができない。むしろ次第に「まだ準備ができていない」という思い込のほうが強くなっていく。 いつの日か、十分な知識、道具、技術、資金、やろうという気力、いけるという予感、やりきれる体力、そのすべてが完璧にそろう時期が来ると、信じてしまうのだ。 だが、いくら準備をしても、それらが事の成否を決めることはない。 いかに素早く一歩を踏み出せるか。いかに多くの問題に気づけるか。いかに丁寧に改善できるか。少しでも成功に近づけるために、できることはその工夫しかない。 よく行動する人は、知識は必要最低限でいいと考える。 なぜなら実際に動く前に、わかることなんてほとんどないと知っているからである。だからよく失敗する。だがそれで「順調」だと思っている。 そのように私たちの脳は、自分の行動をうまく正当化するように作られている。 小さくても「一歩を踏み出す」という行為さえ続けていれば、「なぜこれが正しいのか」脳が勝手に理由を集めてくれる。 吉田松陰は、行動につながらない学問は無意味だと考えた。 大切なのは、不安をなくすことではない。 いかに早く、多くの失敗を重ねることができるか。 そして「未来はいくらでも自分の手で生み出すことができる」という自信を、休むことなく生み続けることなのである。』
今、自分が取り組んでいることと重ねて、この文章がすっかり気に入ってしまい購入を即断しました。この本は、短期間に後の総理大臣2名を輩出した松下村塾の講師で思想家の吉田松陰が残した名言を、現代風に「超訳」したもので、一つ一つは短いながらも心に響く言葉です。新たなマイバイブルとして、自宅の書棚に並ぶことになります。
吉田松陰なる人物が、すっかり気になってしまった私は今、尊敬する作家、司馬遼太郎の「世に棲む日日」を購入し、吉田松陰の人となりを学んでいるところです。
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