一昨日、宿泊事業者を対象とした道と函館市の宿泊税の説明会に参加してきました。説明会では、新聞報道等にあった通り、数多くの問題点や反対意見が投げかけられました。もちろん私もそのうちの一人です。
これはあくまで私個人の意見ですが、宿泊税に断固反対というわけではありません。これから観光産業は発展していくことは確実であり、受入体制を拡充するためには新たな財源も必要であることは理解できます。ただ、現在の市と道の案では極めて不公平であり、かつこの広い北海道において市のみならず道からも徴収されるのは少し納得がいきません。さらに、税率で見た場合、低価格帯の税率が極めて高くなり、いわゆる富裕層が利用するような宿泊単価が高い客室の税率がごくわずかという矛盾です。
上のグラフは宿泊単価別の宿泊税率です。市も道も2万円以下は100円、2万円~5万円は200円、5万円以上は500円という税額を提示しています。両方から課税されると単純にその2倍となるわけです。消費税別の宿泊単価が4000円の場合、その税率は5%。一方1万円だと2%、1万5千円で1.3%、2万円で2%に戻りますが、4万円を超えると1%を下回ります。
1泊4000円はないだろうと思われる方もいるかもしれませんが、宿泊特化型施設で、複数名1室の1人当たり単価が4000円を切ることも決して珍しくありません。オフシーズンでは当ホテルではシングルルームも5000円を切り、年間平均で税別の1人当たりの宿泊単価は5000円前後になります。
消費税が8%から10%に2%上昇するだけで消費行動に影響が出る世の中、4%や5%も税率を上げられたらたまったもんではありません。市や道は100円、200円程度なら問題はないだろうと安直に考えていたのかもしれませんが、営利企業からするとこの率は大問題です。なので、公平性を保つために、定率制での導入を、さもなくば定額とする価格帯は細分化して極力公平にできないものかと意見してきました。
日本では東京都が最初に定額制の宿泊税を導入し、インバウンドの急増で大阪や京都が追随しました。しかし東京や大阪は、低価格帯からは徴収しない免税点を設けています。その後、金沢や長崎、北海道では倶知安町など観光都市での導入が相次いでいますが、あくまでも市町村レベル。市と県の二重課税は福岡県で見られますが、市レベルに配慮した税区分となっています。観光目的税はあくまでも観光地レベルの自治体で徴収すべきだと思います。
更に今になって反対意見が噴出しているのは、行政の稚拙な進め方にあります。市はコロナ前、観光目的税導入にあたり検討委員会を立ち上げましたが、肝心な宿泊施設の経営者はその委員会から外され、あくまでもオブザーバーとしての参加しか許されませんでした。被徴収者とは関係の無いメンバーで構成されたその委員会では、徴収しやすいからといつの間にか宿泊税の名に変わり、賛成多数で導入の方向性が決まった訳です。この進め方に、我々業界の重鎮たちは怒りをあらわにしており、このままではとても飲むことはできないと反対している次第です。
道に至っては、丁寧な説明を続けると言いながら、私が彼らから説明を受けたのは今回が初めて。誰がリークしたか、次の道議会で導入の方向が決まるとの新聞報道があった後です。渡島振興局に限らず、各地での説明会では多くの反対意見が出されているようです。宿泊税には他にも多くの問題点がありますが、既に長くなっているのでここでは記しません。
来月の道議会で簡単に可決するほど甘くはないはずです。姿勢拝見です。
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