三割高下へ向かえ
私が証券会社に入社したのはバブル絶頂期の1988年。ブラックマンデーを乗り越えて、日経平均株価は史上最高値を更新するバラ色の時代でした。程なく、運用部門の子会社に出向し、ファンドマネージャーの見習いをしていた1989年大納会の日に、日経平均は38916円という空前の最高値を記録しました。その後は皆さんご存知の通り、失われた20年とも言われる長期下落相場が続いた訳ですが、当時は誰もそんなことになろうとは思ってもいませんでした。
年が明けて1990年になると、相場は前年とは一転して下げに転じました。新聞紙上では下値の目途は3万何千円だと”専門家”が語り、上司もここが絶好の買い場だと幾度となく叫びましたが、全くその通りにはならず、入社以来見たことが無い下げ相場が続きました。新人類と呼ばれていた私はそこで誰も信用できないと思い、自分で国内外の株式相場のみならず、あらゆる相場の歴史を図書館などに通って調べました。
すると、いくつか共通点があるということに気付きました。どのような相場も一本調子に上昇した後、上昇したはるかに短い期間で急落する場面を繰り返すこと。当時はまだバブルという言葉はありませんでしたが、バブル的上昇相場が終焉する初動の下げパターンは極めて類似した動きになること。そして、成熟したマーケットではその初動の下げが高値から30%程度となることが極めて多いことです。なぜ、このようになるかはおそらく群衆心理というのは、恐怖に対面した時、常に同じような行動をとらせるからだと自分なりに理解していました。
1990年4月、日経平均株価は3万円の大台を割り込んだあと、更に1日で2000円近い急落に見舞われました。静まり返ったトレーディングルームで、ファンドマネージャー見習いだった私は「ここが買い場だ!」と心の中で叫びました。その日の終値、28002円。史上最高値から28%の下落。相場はその翌日から4ヶ月ほどの反騰局面となりました。そして私はそれから約10年、超弱気のファンドマネージャーとして兜町に席を置いていました。
なぜ今日、こんな話を書いたかというと、本日のNYダウは史上最大の2997ドル安。新型コロナの影響で景気後退が鮮明化する中、先行きが見えない状況です。しかし、今日のNYダウの終値20118ドルというのは、先月つけた史上最高値29568ドルから32%下落した値。また、日経平均株価の直近高値24115円から30%下げた値は16880円。その値を下回っている今日の株価は目をつぶってでも買えと言うつもりだったのですが、書いている間に相場は反騰しているようです。
三割高下へ向かえ。見事な格言だと思います。
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