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2019年12月27日 (金)

宿泊税に物申す

函館市観光振興財源検討委員会が函館市長に対し、宿泊税導入に関する提言書を提出したことが本日の新聞記事等で取り上げられています。記事の内容を真に受けると誤解が生じるので、一部反論させて頂きます。

まず、一部記事に検討委員長の発言として「宿泊事業者のヒアリングでは定額制が良いと聞いている」とありますが、これは極めてごく一部の意見。そもそも、ヒアリングでは宿泊税導入反対の声が圧倒的に多かったはずです。

それはさておいても、函館の2大宿泊事業者組合”函館ホテル旅館協同組合”と”湯の川温泉旅館協同組合では、仮に宿泊税が導入されるのであれば定率制にすべきであるとの共通認識を持っています。と、言うのも市が目論んでいる1人200円という定額税額では、低価格帯の宿泊施設にとって著しく不公平な税率となってしまうからです。特に地元資本の中小規模の宿泊施設の価格帯は低い傾向にあり、1室複数名宿泊する客室では一人当たりの料金では2000円台というところも珍しくありません。これに定額の200円の税金となると、10%近い税率となる訳です。一人1万円以上とるような施設ではわずかな税率となるかもしれませんが、低価格帯の施設にとって経営に影響が出るレベルです。

第三者的には、宿泊税は泊まった観光客が払うのだから関係ないように思われるようですが、現実的には税込料金が宿泊料金となり、価格競争厳しい世界において、結局宿側が負担すると言って過言ではありません。百歩譲って、定額制とするとしても、東京都のように一定額以下は免税とする免税点を設けるか、1万円未満は100円、それ以上は200円といった累進制にしない限りは、認めないことを申し合わせている次第です。

もうひとつ懸念されるのは、記事に書かれている通り北海道との二重課税です。ただ、これについては先般ニセコ町が定率制での導入を撤回し、導入時期も延期しました。道との歩調を合わせるため、道もしくは総務省から何らかの圧力があったものと考えられ、函館市も独自で勝手に進められないだろうと憶測しています。おそらく、将来的には道主導で、一定割合を徴収自治体に還元するという形になるのではないでしょうか。2月の市議会で、導入時期を強引に承認しないようには働きかけていこうとは考えています。

我々業界としても、全国的な流れから何が何でも宿泊税反対という訳ではありません。市が拙速に進めて二重課税や不公平税制になったり、他地域との競合に不利な状況になることだけは避けたいと考えているのです。更に大きな問題はその用途です。これも委員長の発言として「導入されれば、他の財源が不足する施策に予算を回すことができ」と記事にありましたが、これが事実とすればとんでもないことです。宿泊税は目的税であり観光に特化したものに使われなくてはならない税金です。既存の観光予算と別枠で、”増税分”を観光目的に使われるべき財源なのです。

さて、将来的に導入された場合その使途は我々宿泊業界も交えて検討されるものと考えていますが、個人的に要望すべきことは決まっています。これから訪れる函館の宿泊施設の超供給過剰状態。多くの施設が生き残るためには、年間の宿泊客数が3割以上増加しなければ厳しいと考えています。そのためには小手先のイベントや既存施策の上積みではどうにもなりません。函館に更に多くの人を呼び込むために必要なのはコンベンションセンター。できれば緑の島あたりに大規模な展示会やコンサートなども行えるホールに会議棟を備えたコンベンション施設を建造できれば理想です。それが難しければ、市民会館の小ホールの入った棟を取り壊し、国際会議も可能な本格的会議棟を建設できないものでしょうか。函館アリーナと市民会館、これに本格的会議棟が揃えば、使途に制限があるとはいえ、現在以上にコンベンション機能が拡充され、多くの会議を誘致出来るはずです。函館にコンベンション需要があることは、スポーツ施設の函館アリーナが会議の一端として想定以上に利用されていることで証明されています。

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建設費用の返済を毎年集まる億単位の宿泊税をその財源にあて、イニシャルには過疎債など利用すれば決して無理な話ではないと思います(画像は沖縄コンベンションセンター。このような施設があるのが理想です)。将来的に、次の世代を担う議会や首長に働きかけていくことが、今後の私の使命になるかもしれません。

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