観光公害
昔からあったのか、最近できた造語なのかはわかりませんが、「観光公害」という言葉をよく耳にするようになりました。代表的なのが京都で、近年、外国人観光客が急増したことにより、観光スポットのオーバーキャパシティや文化の違いによるマナーの問題はもとより、路線バスが観光客に占領されたり、ホテル乱立や民泊の増加で賃貸物件が高騰するなど、市民生活に悪影響を及ぼしているというものです。
さて、ホテル建設ラッシュの函館。「こんなに出来て大丈夫なの?」と心配する声はあるものの、我々同業以外の観光業界はむしろ歓迎ムードです。それはそうでしょう。ホテルは競争過多になろうと、少なくとも繁忙期はより多くの観光客がやってくるはずだからです。我々同業も、宿泊キャパが現在より2~3割増えても、繁忙期についてはそれほど心配していません。年100日にも満たないとは思いますが。
しかし、現在でもGWや夏休みなどのトップシーズンは、どこの観光施設も混み合い、時折苦情を受けることもあります。函館観光の最高峰、夜景を一望できる函館山山頂展望台は繁忙期は常に大混雑。また時期によっては日本人を探すのに苦労するほど異国語が飛び交っています。繁忙期にこれ以上人が増えると、ロープウェイに乗るにも今以上の長蛇の列が予想されます。折角の世界に誇る夜景も「辟易とした」と思われることが今以上に多くなるかもしれません。
これは飲食店にも言えることです。人気店の繁忙期は今でも行列状態で、薦めたお店で「食べるのに何十分も並んだ」と御叱りを受けることも稀にあり、こんなことが常態化すれば函館観光のイメージダウンとなって、逆に国内客を中心に足が遠のくことにもなりかねません。
人口が減少する中、交流人口の増加によって地域経済を活性化させることにはもちろん大賛成で、伸びしろのある外国人観光客がもっと増えてくれなければ、大量供給されるなか我々宿泊業は生きてはいけません。しかし、このまま無秩序に宿泊施設建設を認め、入込を増やすことだけを考えていては、世界の観光先進都市のようにオーバーツーリズムが現実になるかもしれません。
若松埠頭が整備され、クルーズ船が市街地近くに停泊できるようになった函館ですが、世界を代表する観光都市のベネチアやアムステルダムでは、クルーズ船の受入を制限したり、停泊する場所を市街地から遠ざけることも計画されているようです。降りる人の数ほど街にお金が落ちず、市民の不満の声の方が大きくなっているとのことです。また、観光地によっては1日に訪れる観光客の数を制限したり、市街地での民泊を禁止しているところもあるようです。
もちろん、街に観光客が来なくて困るより、多すぎるくらいの方が良いのでしょうが、繁忙期の受入体制は、この街の将来のためにも検討すべき時に来ていると思います。
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