越年雑感
今年も残すところあと2日。振り返ると今年の函館観光業界は期待通りの、いや、予想を大きく上回る良い1年でした。新幹線開業効果が剥落してくると考えていたオフシーズンも、インバウンド、特に個人客の需要は旺盛で、分母が小さい分、伸び率は繁忙期を上回っています。もちろん、こんな状態が永続的に続くなどと考えている訳ではなく、これはあくまで函館の特殊事情。バブル的活況は今年がピークでしょう。
ただ、状況を客観的にみて、来年一気に反動がくるとも思ってもいません。新幹線が開業した先行地の翌年がどうなったかは先般記した通りで、来年に限っては宿泊キャパの供給も大幅に増えることもありません。むしろ市内主要ホテルの改装により、オンシーズンは今年同様需給が逼迫する可能性も大きくなってきました。おそらく、頭打ちの兆候をみせながらも、もう1年は良いと言える年が続くのではないかと、期待を込めて思っています。
我々の業界以外においても、もしかしたら来年は一時的にせよ景況感が目に見えて回復する局面がでてくるのではないかと感じています。消費者物価が上がらず、デフレ脱却の糸口が見えないような報道もありますが、我々の業界は明らかにデフレを脱却し、むしろインフレの兆候が見えています。「インバウンドバブルの恩恵を受けたおまえらだけだろ」と言われてしまうかもしれませんが、それだけではありません。宿泊単価上昇の裏には、さまざまなものの値上がりが根底にあります。人出不足を背景とした人件費、外注している清掃代、クリーニング代。為替が円高に振れ、原油価格が低迷していた今年はまだ、抑え込まれていた部分も大きかったと思うのですが、来年はさらに顕著になってくることでしょう。最近、スーパーなどでも様々なものが高くなっていると感じている方も少なくないと思います。一見マイナス要素にも思われますが、この”もの”の値上がりは、初期段階では景気にプラスに働きます。エネルギー価格も反映する、日本の消費者物価指数が大きく上昇したとき、景気回復の兆候と捉え、株価が一段高する局面もあるかもしれません。
一方、楽観ばかりもしていられません。世界を見ると、トランプの当選に象徴されるように「ポピュリズム」が台頭してきているようですが、このポピュリズムが昭和初期のようにファシズムに変遷していかないか不安を感じているところです。身近に何らかの国際紛争など起こったら、平和産業の、しかも外国人観光客に大きく依存している今の観光業界など、全く違う景色になること間違いありません。
同じ観光業界でも、今年、地震や台風被害で大変だった地域も少なくありません。それどころか、先が見えない厳しい立場にある業界があことも忘れてはなりません。我々もまさに紙一重。今の当地観光業界は奇跡的に恵まれた環境にあるんだということを肝に銘じ、新年を迎えたいと思います。とりとめのない文章になってしまいましたが、本年の拙ブログはこれが最後です。皆様、良いお年を。
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