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2016年12月

2016年12月30日 (金)

越年雑感

Dsc_1113今年も残すところあと2日。振り返ると今年の函館観光業界は期待通りの、いや、予想を大きく上回る良い1年でした。新幹線開業効果が剥落してくると考えていたオフシーズンも、インバウンド、特に個人客の需要は旺盛で、分母が小さい分、伸び率は繁忙期を上回っています。もちろん、こんな状態が永続的に続くなどと考えている訳ではなく、これはあくまで函館の特殊事情。バブル的活況は今年がピークでしょう。

ただ、状況を客観的にみて、来年一気に反動がくるとも思ってもいません。新幹線が開業した先行地の翌年がどうなったかは先般記した通りで、来年に限っては宿泊キャパの供給も大幅に増えることもありません。むしろ市内主要ホテルの改装により、オンシーズンは今年同様需給が逼迫する可能性も大きくなってきました。おそらく、頭打ちの兆候をみせながらも、もう1年は良いと言える年が続くのではないかと、期待を込めて思っています。

 我々の業界以外においても、もしかしたら来年は一時的にせよ景況感が目に見えて回復する局面がでてくるのではないかと感じています。消費者物価が上がらず、デフレ脱却の糸口が見えないような報道もありますが、我々の業界は明らかにデフレを脱却し、むしろインフレの兆候が見えています。「インバウンドバブルの恩恵を受けたおまえらだけだろ」と言われてしまうかもしれませんが、それだけではありません。宿泊単価上昇の裏には、さまざまなものの値上がりが根底にあります。人出不足を背景とした人件費、外注している清掃代、クリーニング代。為替が円高に振れ、原油価格が低迷していた今年はまだ、抑え込まれていた部分も大きかったと思うのですが、来年はさらに顕著になってくることでしょう。最近、スーパーなどでも様々なものが高くなっていると感じている方も少なくないと思います。一見マイナス要素にも思われますが、この”もの”の値上がりは、初期段階では景気にプラスに働きます。エネルギー価格も反映する、日本の消費者物価指数が大きく上昇したとき、景気回復の兆候と捉え、株価が一段高する局面もあるかもしれません。

一方、楽観ばかりもしていられません。世界を見ると、トランプの当選に象徴されるように「ポピュリズム」が台頭してきているようですが、このポピュリズムが昭和初期のようにファシズムに変遷していかないか不安を感じているところです。身近に何らかの国際紛争など起こったら、平和産業の、しかも外国人観光客に大きく依存している今の観光業界など、全く違う景色になること間違いありません。

同じ観光業界でも、今年、地震や台風被害で大変だった地域も少なくありません。それどころか、先が見えない厳しい立場にある業界があことも忘れてはなりません。我々もまさに紙一重。今の当地観光業界は奇跡的に恵まれた環境にあるんだということを肝に銘じ、新年を迎えたいと思います。とりとめのない文章になってしまいましたが、本年の拙ブログはこれが最後です。皆様、良いお年を。

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2016年12月23日 (金)

この冬は?クリスマスは?

札幌など道央や道東は何度もドカ雪に見舞われ、記録的な大雪となっているこの冬。東京へ出張に出向くと、「北海道は大変だね」と良く言われますが、函館は先週末に一時的にまとまった雪が降ったものの、その後の暖気ですべて融け、同じ北海道でも渡島半島の12月は暖冬気味です。道南以外の北海道は今年何度目かの大雪となった昨日も、函館は季節外れの”大雨”警報。クリスマスファンタジーのツリーも雨に打たれ、会場は閑散としていました。

Kionラニーニャの影響で寒い冬になるのではとの予報もあり、実際、札幌市民などは実感しているところかもしれませんが、覚悟をしていた私は肩透かしをくらった感じです。さて、これから冬本番。この先を占う1ヶ月予報が昨日発表されましたが、これがまた悩ましい限り。北海道は平年より気温が低くなる確率が高いものの、東北以南は逆に暖かくなる予報となっています。札幌よりも東北が近い函館は平年並みか、それとも今月のように道南だけ暖冬が続くのか。生活する分には、この傾向が続いてほしいところですが、当地を冬に訪れる観光客は季節感も感じたいはず。

幸い?今夜から気温は急激に低下し、降るものも雨から雪に変わり、イブのファンタジー会場はホワイトクリスマスになりそうです。

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2016年12月17日 (土)

函館観光の救世主

今年の函館の観光業界。何度も書いてきた通り、北海道新幹線開業によりバブル景気。おそらくほとんどの施設が、少なくともここ十数年において記録的な売上を記録することになるでしょう。本日も出張先の青森からの帰路、仙台早朝始発にもかかわらず新幹線は想像以上の混み具合。団体客の多くが新函館北斗駅からバスで移動したにもかかわらず、函館ライナーは首都圏の地下鉄並みの混雑でした。

新幹線開業が函館の観光業界を潤しているのは間違いありませんが、過去最高の観光客入込数を記録するまでに至るその根底は、外国人観光客の増加に他ありません。函館のみならず、全国的な傾向として3年程前から海外からの旅券ビザ緩和をきっかけに、外国人観光客が大幅に伸び始めました。その恩恵を多分に受けたのが、東北6県に年間宿泊する外国人と同じ数が宿泊すると言われる観光都市函館でした。

当ホテルの極秘?データを紹介しましょう。

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上のグラフは昨年とその10年前の2005年に当ホテルに宿泊した月別の外国人の割合です。特に冬場、12月から2月の比率の割合の伸びが目だっています。ツボはここです。函館はトップシーズンの夏場と、オフシーズンとなる冬場の観光客の入込の差が激しく、多くの施設が5~10月に貯めた利益を残りの月で吐き出すような循環を繰り返していました。それを埋めるように、冬を好む南方のアジア系外国人が当地を訪れるようになったのです。しかも10年前は最閑散期ともいえた旧正月前後をピークとして。ちなみに1年を通してのインバウンド比率は2005年が9%、昨年は25%です。

次のグラフは昨年の当ホテルの月別宿泊人員です。外国人観光客が増加する前は、閑散期となる特に12~2月は、通期室稼働ベースで40%に届けば御の字(当ホテルの場合)だったのですが、インバウンドの増加で50%を大幅に超えてくるようになりました。(※昨年4月は客室改装のため平年より入込が少なく、逆に3月は新幹線開業による”特別値”。グラフは稼働率ではありません)今年は特殊とはいえ、12月の稼働も80%超、外国人比率も5割を超えてくることは確実です。

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一部にはインバウンドを不要とする考え方をする施設や地域もあるようですが、函館のように人口規模の割に宿泊キャパが大きい観光依存都市にとっては最早、最大のターゲット。何せ、国内需要の縮小は避けて通れないのですから。水物のリスクは承知で、更に依存度を高めていくことが正解なのかもしれません。

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2016年12月10日 (土)

函館市観光客入込数過去最高を更新へ

久々に業界の動向について記そうと思います。先日、今年度上期の函館市内観光客入込数が公表され、前年比約14%増の321万人となりました。このままいくと、通年では1998年に記録した539万人を超え、過去最高を記録することがほぼ確実となります(下グラフ・クリックすると拡大します)。

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外国人観光客の増勢が続く中、北海道新幹線開業である程度想定されていたこととはいえ、個々の施設レベルではほぼバブル状態、予想をはるかに超えたと感じているところも少なくありません。統計の中で、外国人観光客数が減少したことを気にする向きもありますが、これは国際線の中国路線運休で団体客が減少したことも一因ですが、新幹線開業による国内客の増加で、繁忙期の宿泊予約が取りにくくなるという、ある意味、施設側にとってマイナスではないことに起因しているものと思われます。

事実、インバウンドの100%が個人旅行客である当ホテルの外国人観光客は今年度上期も大幅に伸びています。小規模施設である当ホテルでは、今年度に限らず繁忙期は国内観光客優先で受け入れており、7,8月のトップシーズンの外国人比率が例年ごく少数であることも大きな要因です。

さて、我々にとって大切なのはこの先どのようになっていくか。以前、にも書いていますが今年はバブルのようなもの。特に、個々の施設にとっては今年がピークであると肝に銘じておかなくてはならないと思っています。参考になるデータがあります。北海道新幹線が開業する1年前に開業した北陸新幹線沿線の観光地の入込がどうなっているのか。速報性がある日本銀行の金沢支店や富山出張所のデータを見ると、開業年、当然のごとく大幅に入込数を伸ばした各地の温泉宿泊客数は今年度になって5~10%程度の減少を記録しています。とはいえ、開業前と比較すると高水準を維持し、おそらく想定の範囲内の動きであると思われます。

以前、東北新幹線が開業した後の八戸の動向を調べたことがあります。列車の輸送人員は開業2年目以降も落ち込むことなく高い水準を保ちました。観光客入込数も開業年度がピークではなく3年後(※八食センターという特殊事情あり)。ただ、宿泊者数は開業2年後にピークを打ち、5年目には開業前をも下回っています(下グラフ)。さらに、施設レベルで見るとやはり開業年度がピークだったところも少なくありません。

2002hatinoheこれは、交流人口の増加が競争を生み、宿泊供給能力が増加したこと。そして決して観光都市とはいえない八戸が、仙台圏からも首都圏からも日帰り可能となったことで、宿泊率が大幅に低下したことに起因しています。八戸では新幹線開業後、多くの全国チェーンビジネスホテルが進出した一方、中心部の既存宿泊施設が数多く淘汰されていきました。

さて、函館です。おそらく国内有数の観光地函館の観光客数は、突発的な悪材料が無いことを前提に、来年度、再来年度くらいまでは多少減少したとしても高い水準を維持していけるものと思います。また、八戸とは異なり、首都圏からは依然遠く宿泊率の落ち込みは少ないと考えます。問題は供給側。今年度、不足ぎみと言われた宿泊キャパは、来年度から確実に増加していきます。一気に増加するのは3年後。前も書きましたが、ここは相当覚悟が必要です。

もうひとつ気になるのはインバウンド。国策もあり、長い目で増勢基調が続くのだとは思います。ただ、1年間、東北6県に宿泊する外国人と同じ数が宿泊すると言われる函館市。ここまで、インバウンド依存度が高くなると、何かが起きたとき、自然災害や国際紛争、パンデミック・・・これは何度も経験していますが、過去に経験してきた以上に大打撃を受けることになると思っています。多少落ちてもある程度は維持と思いたいのが本音ですが、株の世界でいう、ボラティリティが高まることを念頭に入れておく必要があります。

ここに住んでいると全国の観光地が好調なのかと勘違いしてしまいそうですが、道内では台風被害で厳しいところの方が多く、函館のみが突出。全国的にも、観光客入込数が過去最高を更新するのは極めて稀なケースです。宴の後、地域力、経営力が試されるのはこれからです。

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2016年12月 3日 (土)

クリスマスファンタジーでPPAP

2016函館の冬の風物詩としてすっかり定着した「はこだてクリスマスファンタジー」が、12月1日から25日までの日程で今年も開催しています。実行委員会の中枢として汗を流していたのは、既に10年以上前。今は観光業界の端くれとして、遠方からサポートする立場です。このイベントも歴史を積み重ねています。

さて、はこだてクリスマスファンタジーといえば、例年1,2度サプライズゲストが登場することがあるのですが、昨日ステージに上ったのは、今、最もブレイクしている芸人と言ってよい「ピコ太郎」こと古坂大魔王さん。昨日のファンタジー、青森県が主催するステージイベントが行われていたのですが、そのMC役での登場です。よくぞこんなところにと思いきや、青森県出身のタレントとして出演を承諾していたのがピコ太郎としてブレイクする前とのこと。おそらく、今ではあり得ないギャラでの出演だったものと思われます。

事前に新聞報道もあったことから、昨日は平日、生憎の荒天だったにもかかわらず、一昨日のオープニングと同じくらいの人出があったようです。一説には「PPAP」はやらないのではないかという憶測もあったのですが、そこは芸人、空気を読んだらしく”ピコ太郎のものまね”をするということで披露し、会場は大盛り上がりだったとか。残念ながら、私は見ていませんが、PPAP目的に見に行った息子は大満足の様子でした。

クリスマスファンタジーは毎日夜6時過ぎに、点灯式が行われ、最終日まで毎日花火が打ち上げられます。会場では今年も人気のスープバーが軒を連ね、週末を中心にステージイベントも予定されています。今後も思わぬサプライズゲストが登場するかもしれません。函館にお越しの際には、LEDの進化により、十数年前よりはるかに彩り豊かになった海に浮かぶツリーを、是非とも堪能して下さい。

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