歴史は繰り返される?
年明けかと高をくくっていたら、急転直下で衆議院が解散し、突然の選挙であわただしいまま大晦日を迎えた今年の師走。この政権交代が確定的となった11月中旬から株高円安が進行し、長年低迷を続けてきた日本経済も来年は少し明るくなるのではとの雰囲気も出ています。日本経済の見通しを語るほど偉そうな立場ではないことは重々承知ですが、気になることがあるので、年の最後に綴ってみたいと思います。
今のマーケットの雰囲気は、私がまだ兜町のど真中で働いていた1995年から96年にかけての動きにとても良く似ていると感じています。1995年は年初に阪神淡路大震災があり、為替市場では夏場にかけて当時変動相場制となってからドル円相場の最高値である1ドル79円まで急激な円高が進みました。この流れの中、株式市場も低迷しておりましたが、為替相場の反転とともに年末にかけて反騰に転じました。
年が替ると当時の村山内閣が退陣し、橋本龍太郎内閣が発足。景気回復への期待感から春以降株式市場は一段と上昇基調を強めました。このときの周囲の雰囲気は、株式バブル崩壊後、長期にわたり低迷してきた株式相場も本格的な底を打ち、新たな上昇相場入りするかのような空気に包まれました。国内株のファンドマネージャーだった私は、この動きを懐疑的に思い、裁量の範囲で株式売却に回ったのですが、期間パフォーマンスとしてはひとり負けだったと思います。
翻って現在、東日本大震災後、国内外の悪材料から円高株安が年半ばまで進みましたが、為替も株も緩やかながら反転、その流れが安部政権発足の期待感から年末にかけて加速しました。何だか良くなりそうな雰囲気です。
1996年、きっかけは橋本内閣が財政再建へ大きく舵を切ったことです。この年の6月に株式市場はその後現在に至るまで抜けない、戻り高値をつけてピークアウトしました。為替市場の円安は継続し、翌年にかけて株式市場の値持ちは私が想像していた以上でしたが、その後のアジア通貨危機で、96年当時はほとんど誰も想定していなかったバブル崩壊後の新安値を記録しにいくのです。
さて来年。多少の紆余曲折はあっても相場は株高円安方向へ、堅調に推移するものと思います。理屈よりもテクニカル的に。しかし、景気が本格的に回復しない以上、特に株は来年の半ば以前に’96年同様ピークアウトするのではと見ています。96年は今よりはるかに足元の景気はしっかりしていました。何より人口も、生産年齢人口もピークアウト前です。今はそれが減少、すなわち絶対的な需要が減り続けているのです。多少の上げ下げがあっても長期的なダウントレンドの中にいることを忘れてはなりません。
もうひとつ当時と類似している点があります。1997年4月、消費税が3%から5%へと引き上げられました。再来年、2014年4月、消費税が8%へと引き上げられます。駆け込み需要はあるかもしれません。でもそれは、より大きな反動を招きます。しかも今回はその先の引き上げも内定しています。金融緩和、公共投資と言いながら安部政権もどこかで財政規律を重視せざるを得なくなるでしょう。そう考えると、歴史が繰り返される可能性は非常に高いと思うのですが・・・。
来年はともかく、再来年とその翌年は景気も、当地の観光も大変厳しくなると見ています。そのような意識の下、経営を考えている次第ですが、如何に・・・。皆様、良いお年を。
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