わずか年間19万人増? ~新幹線開業後の現函館駅利用者数~
もう2週間ほど前になりますが、所属する団体で講師を招き「新幹線開業勉強会」を開催しました。その際、講師から少し違和感を感じる数字が発表されました。北海道新幹線が開業し、”新函館駅”に新幹線がやってきても、現函館駅の利用者(降車数)はわずか年間19万人しか増加しないというのです。当日、予定があって勉強会を中座しなくてはならなかったこともあって、後日、普段から親交のある講師にその根拠を聞きに行きました。結果、単なる推測ではなく、国の機関が推計した値や現状の統計値から計算した、極めて客観的な計測値であることが分かりました。
根拠はこうです。一昨年の数字で青函トンネルの利用者は往復で152万人。新幹線開業後その数は2.3倍の347万人になると推計されています。そのうち新函館駅から函館方面に向かうのは約60%、更にそのうちリレー列車を選択するのが56%(いずれも推計値)で、現函館駅の乗降者数は117万人になる計算です。
これも2年前のデータで現函館駅の乗降者数は年間約228万人。うち約3分の1が定期券利用者すなわち地元客で、残りの3分の2のうち津軽海峡線利用者は実データで51%。人数で79万人となります。新幹線後の117万人から現状の79万人を引くと38万人。これは往復=乗降客数なので、実増はその半分の19万人ということです。
年間わずか19万人。1日あたり500人。それでも率にすると16%で、もちろんリレー列車で函館駅に来なくても、新幹線を利用して函館を訪れる観光客は他にもいます。この数字を少ないととるか、妥当ととるか。さらに言えば現駅から18kmも離れた前例を見ない新幹線の新駅。個人的には推計値自体、甚だ疑問です。おそらくもっとリレー列車の利用率は高いだろうし、特に初年度は観光都市函館を訪れる観光客の比率は高いと思われます。
ただ、現駅前で商売をしている人間のエゴと承知で言わせてもらえば、新幹線開業の経済効果をMAXにする為には、新函館駅で新幹線を降りた観光客を出来るだけそのままリレー列車に載せて函館駅に連れてくることを考えなくてはなりません。直接新幹線が乗り入れた九州新幹線の鹿児島中央駅には、函館換算すると(347-79)÷2=年間134万人もの純増があり(かなり大雑把な計算だが)、それに見合った経済効果が生まれているのです。
如何に新函館までやってきた観光客を、新駅で降ろさずに現函館駅に持ってくるか。その対策が出来ているかというと十分ではありません。それどころか、黙っていてもやってくると思っているのではないでしょうか。長くなるのでいつか詳しく書きたいと思いますが、最も早く対策を取るべき点は、現函館駅の観光バス待機場です。驚くべきことに、年間400万人以上観光客が訪れる全国有数の観光都市函館の顔ともいえる函館駅前に、観光バスの待機場というものが無いのです。土地が無いわけではありません。どちらかというと、必要以上に広い駅前広場です。当然、業界の要望もあって新函館駅前には観光バスの待機場が設けられる予定ですが、新幹線を降りた観光客が、新駅のバスターミナルからそれぞれの観光地やホテルに向かったとしたら、これは現駅前の商業者にとって、いや観光都市函館にとって大きな機会損失となることは目に見えています。
早く、対策を講じなくてはなりません。
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東京在住の函館ファンでいつも拝読しております。年1回は3連休を狙って列車で函館・大沼旅行をしています。現在、大野駅に下りの特急は通らないですが、新幹線が開業すれば当然、通りますね。現料金体系なら、函館~新函館の自由席特急料金は300円(乗り継ぎ割引適用なら150円?)ですので、函館駅には特急でも手軽に利用できることになります。
一方で、現在は大沼公園に停車する特急は夕方でなくなってしまいますが、新函館~大沼公園は普通列車で18分程度ですので、2泊する場合、1泊は大沼もよいかなとも思います。
新函館駅に一番近い観光地として、木地挽山のパノラマ展望台が脚光を浴びるかもしれませんね 。新函館駅にレンタカーを返す前、時間が余ったら時間調整に立ち寄ることも可能です。
いろいろと新幹線開業後の函館観光を脳内シミュレーションしてしまいます。
投稿: 半島ドライバー | 2012年8月25日 (土) 00時20分
いつも拝見しております。
新函館から函館駅までsuicka利用できると便利ですね。
投稿: | 2012年8月25日 (土) 13時44分
木古内から三セクの「企画列車」に乗せて、現函館駅に誘導するという戦略もありますね。
投稿: | 2012年8月27日 (月) 10時26分