菜の花の沖
かつて北前舟で栄えた日本海側を中心とした港町の活性化を考える「北前舟寄港地フォーラム」が今年5月に函館で行われることになり、私はその運営の一端を担うことになりました。函館と北前舟を繋げるものといえば・・・、ということでフォーラムの基調講演は「高田屋嘉兵衛」をテーマとすることに決まりました。
高田屋嘉兵衛といえば現在の函館の礎を築いた豪商で、函館市民であれば一度はその人物像に触れ、幾許かの知識は持ち合わせていると思うのですが、その功績を詳しくしる人は意外と少ないのかもしれません。恥ずかしながら私もそのひとり。フォーラムを運営するにあたって、司馬遼太郎の「菜の花の沖」など、いくつかの小説や文献をよんで俄か勉強を始めています。
司馬遼太郎は言わずと知れた歴史小説家。その作品は余りの人気故、良くも悪くも描かれた人物像が一人歩きし、彼が書いた小説のドラマ化で更に美化されることで、史実と掛け離れた姿が事実と捉えられていると批評する向きもあります。坂本竜馬や沖田総司などもその典型とも言われており、「菜の花の沖」における嘉兵衛も描かれている姿とは違うのかなと思いながらも、他の文献と照らし合わせてみると、実像に限りなく近いのではないかと感じています(司馬遼太郎も調べ尽くしているのだからそう感じるのは当然か)。
ところで、北前舟寄港地フォーラムの主催者側の一人に生前の司馬良太郎と親交があったという(すごい!)作家の方がおりました。先日、打ち合わせをした際、かつて司馬遼太郎に「自身の作品で一番気に入っているものは何か」と聞いたとき、「菜の花の沖」だという答えをもらったとの話を聞きました。「竜馬がゆく」でも「坂の上の雲」でもなく、NHK大河ドラマのモデルとなった幾多の作品をしのいで、高田屋嘉兵衛の生涯を描いた作品が、天才小説家の一番のお気に入りだったことに、函館市民のひとりとして感動を覚えました。
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