重い道庁の責任 ~新幹線延伸問題~
函館市民の多くが新幹線札幌延伸を反対している訳ではありません。一部に札幌まで延伸したら、函館は通過駅になってしまうとの意見があることは事実ですが、少なくとも私はそうは思いません。やり方次第で、函館に留まる以上に観光都市函館を生かすことが出来るとも思っています。真剣に考えてる人ほど、そう感じているはずです(そうあってほしいです)。
今、市民感情を逆撫でしているのは、延伸のためなら地方都市などどうなっても良いと思えるような、北海道の態度です。市長が突如函館⇔新函館間の経営分離を容認したかのようなリーク記事で外堀を埋め、今までいくら要請しても検討もされなかった3セク移行後の道の対応を耳障りの良いあいまいな表現で譲歩し、延伸問題に関係なく検討されていた電化や新型車輌導入をいかにもアメのように発表させても、分かる人には分かります。函館市民には、新幹線問題に関して、北海道から数々の約束を反故にされてきた歴史があるのです。
今まで何の相談も無かったものが、国の方針で着工が現実味を帯びると、地方にとっては地域の存続に関わるような問題を、1ヶ月足らずで判断しろと言う方が無理。増して、市内の各団体が1日で意思決定をしろと言っても出来るわけがありません。判断材料となるべく、具体的な数字が乏しい中、短期間で函館の将来に関わる重要な問題に結論を出すのは不可能であり無責任です。
個人的に、道の出してきた文章で合意しろといっても到底できません。「応分の負担」、「最大限の対応」、「配慮する」、「必要最小限」。こんな表現では、公印付の覚書まで破棄された函館市民が納得するわけありません。道は市長を介してではなく、函館の経済界に直接説明すべきです。
冒頭に書いた通り、函館市民の多くは新幹線札幌延伸に反対している訳ではありません。しかも、この国は中央集権。函館の反対によって、北海道新幹線のみ着工出来なくなった場合、道路や空港、様々な公共施設に対する国や道の報復予算が組まれる可能性も否定できません。線路だけがこの街の将来を左右するわけではないことも理解できます。高度な政治判断を迫られている市長の苦悩は大変なものでしょう。
北海道新幹線が札幌延伸後、函館⇔新函館間をJRが経営分離したとしても、道が80%以上出資する新会社が鉄道試算を買い取り、国が納得する形(例えば鉄道事業法を変えてでも)で、JR北海道がサービスレベルを維持してその運営を受託することが担保されることが、市民を納得させる分岐点だと思います。
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わかりやすくまとめて戴きありがとうございます!
自分もかなり以前からこの問題は気にしていますが、知事のえげつない、北斗市や余市町への切り崩しには閉口してしまいます。
工藤市長にはもうひとがんばりお願いしたいところです!
投稿: まこっち | 2011年12月17日 (土) 11時23分
おっしゃるように、道やJR北海道の対応には閉口してしまいます。
新幹線札幌延伸と函館駅-渡島大野駅間の経営分離は、地元の意向など関係なくセットで決定しているのでしょう。
残念ながら、すでに外堀が埋まっており、変更されることはないように思います。
道が提示するあいまいな表現も、道はJR北海道の収支見通しを知ったうえで、できる限り3セクへの支援から距離を置きたいためでしょう。
(あるいは市の関係者はすでに知っているのかもしれませんね)
きっとそれほどひどい収支見通しなのだと思います。
3セクで運営をはじめても、税負担も相当なもので、場合によっては廃線も念頭にあるのかもしれません。
ちなみに一点、私と見解が異なることがあります。
「一部に札幌まで延伸したら、函館は通過駅になってしまうとの意見があることは事実ですが、少なくとも私はそうは思いません。」
私はそう思っています。
ですから、新幹線誘致は最初から反対の立場です。
私の見聞きしたことと経験から申せば、観光客の増加は可能性としてあると思いますが、そのためには地元経済界と,周辺および地元住民の相当の努力,そして自治体の相当な支援が必要になります。
この三者が一枚岩となる必要があります。
残念ながら、このあたりが経済界、地元住民の中で意識統一されていないように感じます。市は言わずもがなです。
(昔から感じていましたけど「なんとかなるさ」の空気を感じます。)
また開通後を見越した青写真を描き、三者を組み合わせて具体的な方策を提示し、実行するコーディネータもいらっしゃらないように思えます。
(コーディネータはコンサル屋さんを念頭に置いたものではありません。念のため。)
年に一、二度しか帰省していないので、単なる憶測でしかないのですが。
投稿: 通りすがりの元住民 | 2011年12月19日 (月) 14時45分