市場原理主義と地方都市の疲弊(2) ~函館 空の事情~
新幹線新青森開業の陰に隠れて、あまり話題に上らない函館の空路事情。昨年の観光客入込数増加もあって、比較的良いニュースが流れ、それを肯定的に捕らえる観光関係者もおりますが、事情はそんなに甘くありません。
先月、JALの羽田⇔函館線が同千歳線などを抑えて全国第3位の好収支だという報道がありました。競馬開催時に大型機を投入したことなどが功を奏したとの内容でしたが、私は眉唾ものでみていました。機材の小型化で、採算の良いビジネス客で搭乗率を高め、特殊要因で良くなった時だけ大型機を投入すれば、そりゃ採算は良くなります。ホテルも繁忙期だけ客室を増やせれば左団扇です。さらに言えば、傍目にもえげつないリストラを断行してコストを下げることなど一般企業にはできません。身近でもこの人が!と思うような優秀な方が早期退職に応じていました。
路線を強化するとの社長のコメントとは裏腹に、4月からさらに機材の小型化を進めるというニュースに案の定という感じです。極端な利益追求の姿は、ひところのビジネスホテルチェーンの拡大と重なる部分があります。ANAの羽田線増便は、その穴を埋めるだけで、ポジティブサプライズではありません。同じく関空便の1ヶ月分増便も、減らしずぎた分を戻しただけ。かつてはダブルトラックで1日3往復だったこともありました。
HAC丘珠線は座席数1.7倍、乗客2倍と絶好調。函館市民は札幌市内に向かうのに千歳空港を使うくらいならJRを利用します。函館便を千歳に集約したANAは、乗客20%減、1日5往復を3往復に減便します。公共性はどこへやら、地方路線はもっと厳しく、HACの函館⇔釧路便は廃止、同函館⇔旭川便は観光シーズンの週末のみに減便が決まっています。北海道の地方都市は、札幌(千歳)を経由しなければ、どこにも行けない時代になりそうです。
新幹線が青森までやって来たことで、首都圏からの空の需要は多かれ少なかれ影響を受けるものと思われます。増して5年後、新函館まで来た際には、函館⇔羽田便は”好採算路線”ではなくなり、その数も大きく減るでしょう。その時、函館空港が北海道のハブ空港として活用されれば良いのですが、昨今の航空行政からはそんな空気は感じられません。親方日の丸もどうかと思いますが、極端な利益追求は地方都市を、そして自らも埋没させることになると思うのですが・・・。
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