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2010年1月26日 (火)

供給過剰

グラフを使って、函館の宿泊業界の厳しい現状をもうひとつ紹介します。最近、全国でも稀に見る函館のホテルの価格競争がニュースでも紹介され、ご存知の方も多いと思います。函館は県庁所在地ではない地方都市で、拠点とする大企業も無いことから、同規模の都市と比較して通年利用が期待されるビジネス需要が少ない街です。また、北海道では温暖な気候のためウィンタースポーツが盛んではないこともあって、観光客が訪れる夏場のオンシーズンとの極端な季節波動が、オフシーズンの価格破壊の一因であることは間違いありません。

しかし、それ以上に新幹線の北進を当て込んだホテル建設ラッシュが、需給バランスを崩壊させ、後戻りできない泥沼の状況を作り上げているのが最大の理由です。函館の観光客入込数のピークは1998年度の約540万人。それがこの2年は減少速度を加速させ、今年度はピークから20%以上少ない、400万人台すれすれのところまで落ち込むことが予測されています。

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一方、この間函館市内の宿泊施設の客室数は9000室前後を推移していましたが、ここ数年相次ぐ大型ホテル、ビジネスチェーンの進出で一気に10000室を超えてきました。ピークから観光客の入込が20%減少し、客室数が15%近く増えるのですから、単純に考えて各施設の客室稼働率は30%落ちることとなります。実はこの間、市内の宿泊施設の絶対数は減少しています。相次ぐ大型ホテルの進出の陰で、かつて数多くあった駅前旅館などが競争に太刀打ちできず廃業に追い込まれたためです。ただし、ホテルの数は1998年から40%も増えて90施設近くになりました。

しっかりとしたリサーチの元で、進出してくるのであればこんなことにはならなかったと思います。全国チェーンのビジネスホテルの陣取り合戦と、リーマンショック前の行き場の無いリスクに無頓着となった不動産投資ファンドの金が、一観光都市の場を荒らした結果です。一昨年までの投資ファンドミニバブルは、大都市圏の一等地のみの局地戦でしたが、全国でもごく僅か、北海道では唯一、空き地だらけの地方都市の商業地の地価を上げました。

客数減に客室増、これに未曾有の価格競争が加わって、既存施設ではピークから売上げが半減したところも珍しくはありません。新規施設も資材高のピーク時に建てた建物の償却をこの価格競争の中で容易に行えているとは思えません。ズブズブのデフレ戦争。過度な規制は成長を阻害するといいますが、何の規律もない競争は勝者の無い戦いを生む、市場原理主義崩壊のモデルと言ったら言い過ぎでしょうか。

愚痴っぽくなりましたが、これが函館の宿泊業の経営環境です。それでも私たちは戦っていかなくてはなりません。今後10年、今の施設で戦っていくために今年は攻めに転じるつもりです。

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コメント

はじめまして。北海道観光を中心にしたサイト「北海道観光研究所 北杜の窓」を主宰しているものです。

貴サイトは初めての訪問ですが、大変興味深く読ませていただきました。早速ですが、記事のリンクを貼らせていただきました。

函館観光に関しては、仕事を含めて多少かじっていますが、今後も交流できればと思います。

そういえば、今から5年前、函館の大門活性の観光セミナーで連絡船時代からある駅前旅館を集めたイベント(青森なども含む)を開催したらどうかと提案したことがあります。
行政の方は理解できないようでしたが、全国チェーンホテルへの対策も含め、ノスタルジーやおもてなし、函館らしさをPRできればと思いました。

ニューオーテさん、応援しています。

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