生産年齢人口
3年程前、日本の総人口がマイナスに転じたとのニュースを記憶している方も多いでしょう。人口の減少は需要の減退を招き、デフレの根本原因であるとも言われています。しかし、総人口以上に現代の景気、経済動向に大きな影響を与えている指標があります。生産年齢人口です。
生産年齢人口とは15歳から65歳までの人口のことで、もっともお金を使用する年代でもあります。日本の場合、生産年齢人口は1995年をピークに減少に転じ、数年前から減少速度が加速しています(グラフ)。この世代が少なくなるということは、様々な国内経済活動において、需要の減退を招くことを意味します。現に、一人あたり給与所得や、全国のスーパー売上高など1990年代半ばでピークアウトした経済指標は数多く存在します。
当地区函館への観光客入込数も1998年がピークで、近年その減少が加速しています。世界的な景気後退や、新型インフルエンザなど理由をあげたらキリがありませんが、その根底には生産年齢人口=需要そのものの減少があることを忘れてはなりません。そして、この生産年齢人口は少なくとも今後十数年、加速度的に減少を続けることがほぼ確実に推計できます。10年後には、現在から十数パーセント、約1000万人もお金を使う世代が消滅するのです。
函館観光は、新幹線の延伸などいくつかの好材料があり、観光客入込数の回復が期待されています。しかし、需要の絶対数が減少する以上、好材料が過ぎ去った後はそれ以前よりも悪くなる可能性を意識しなければなりません。
内需の減少を補えるのは外需であり、幸い私たち宿泊業は外需を取り込める業種ではあります。成長するアジアを頼りに、インバウンドが10年後までに1000万人増えたら相殺できると考えがちですが、そんなに甘くはありません。インバウンドの1000万人は述べ数であり、消える1000万人は年に何回も出張や旅行で宿泊をする世代だからです。
私たちの業界だけではありません。何もしなければ、いや、普通にやっていては確実に前年を下回るダウントレンドの世界にいることに早く気づいて、いろいろなことに取り組んでいかなければなりません。
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