改修か改築か・・・函館市民体育館
築35年が経過して、老朽化が目立つ函館市民体育館。今年、この体育館を改修して使うべきか、あるいは新築すべきかとの議論が市議会でも取り上げられました。現市長は、2年前の選挙の際、改修しながら使い続けるとの公約を掲げましたが、配管や空調設備、本館の床に至るまで傷みが激しく、その維持費にも莫大な経費がかかることから関係者が問題提起したようです。
現体育館はやや手狭な上、市内にはこれを補完する施設も無いため、函館は全国規模の屋内スポーツ大会を誘致できない環境にあります。このため、スポーツ関係者だけではなく観光業界からも新築を望む声が出ています。また、改修した場合十数億の費用がかかり、新築した場合は最大50億程度の事業費となるようですが、合併特例債を利用することができるので改築も改修も市の負担はほとんど変わらないと試算されています。当然、市議会では「改築することを前提に検討をする」方向性が示されましたが、市長の考えは詳しく報道されていません。
前回の市長選で前市長に圧勝した現市長ですが、市民体育館とコンベンション施設に関するマニフェストについては「コンベンション機能を有した体育館を新築する。」とした前市長の公約が理に適っていると思っています。観光業界としては、大規模コンベンションホールの建設が悲願ですが、いくら合併特例債が活用できるといっても数十億もする施設をいくつも造れるほど財政に余裕が無いのはわかっています。
私見ですが、(1)中心市街地函館駅周辺に「コンベンション機能を有した体育館」を新築し、(2)サブアリーナを充実させれば、改築のメリットがより大きくなるものと考えます。(1)は、コンベンション施設としての利便性と中心街の活性化で、体育館の改修にとどまらない経済効果が見込めます。(2)については、一部懸念されているメインアリーナがスポーツ以外に利用された場合に備え、体育館としての機能も常時可能とするためです。建設地については候補地のひとつとなっている郊外の北高跡地など絶対にあってはなりません。コンパクトシティに逆行し、街の分散を助長した市立病院の移転や未来大学の二の舞です。人口の減少が加速する中、人が集まる公共施設は極力街の中心部に建設しなければ、函館のような地方都市は崩壊してしまいます。
体育館もコンベンション施設も現市長のマニフェストとは異なる市民の声が高まっています。これに対して、市長の側から具体的な方向性は未だ示されていません。民主党の事業仕分けによって函館の水産海洋都市構想に暗雲が垂れ込め、内部では副市長が辞任を発表するなど、函館の行政は混迷を極めています。今こそ市長の柔軟性とリーダーシップが求められるところです。
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